食べて終わらない紅茶ギフトの秘密。新宿伊勢丹・日本橋三越を魅了した「日本の伝統貼り缶」の裏側

TEA journal / Vol.4
コンテナート | 取締役・ロンネフェルト認定ティーマスター 石田明子執筆
「可愛い!」

私たちの小さなお店「コンテナート」の棚に並ぶ紅茶缶を見て、多くのお客様がそう言って目を輝かせてくださいます。イタリア・ロッシ社のクラシカルな輸入洋紙や、モダンな和紙をまとった色鮮やかな茶筒たち。
けれど、私たちがこの缶たちに込めているのは、単なる「パッケージの可愛さ」だけではありません。そこには、日本の職人たちが何世代にもわたって受け継いできた、気の遠くなるような「ものづくりの執念」が息づいているのです。

かつて私たちは、新宿伊勢丹本館や日本橋三越本店との公式コラボレーションという、身に余る光栄な機会をいただきました。伊勢丹の象徴である「マクミランチェック」や、三越の歴史そのものである「華ひらく」のデザインを施した、特製のコラボ紅茶缶をプロデュースさせていただいたのです。
百貨店のトップクリエイターたちが命をかけて守ってきたデザインを、立体的な「缶」という形に落とし込む。言葉にするのは簡単ですが、そこには信じられないほど繊細な「アジャスト(最適化)」の連続がありました。

平らな紙の上のデザインを丸い缶に巻き付けたとき、1ミリのズレもなく完璧に柄を繋げるための「縮尺率」の計算。 光の当たり方によって表情を変える、印刷の「色調整」の限界に挑む作業。
一見すると、ただお洒落で可愛いだけの缶。しかしその裏側には、日本の伝統的な貼り缶職人の手仕事と、私たちのラボが一切の妥協を許さずに数ミリ単位の調整を繰り返した、生々しい「クラフトマンシップ」の歴史が詰まっています。

私たちのこだわりは、

飲み終わった瞬間にゴミ箱に捨てられてしまうような、一過性のパッケージを作りたくない、という強い想いから始まっています。
お茶を美味しく飲み終えた後も、その美しい缶は、お客様のキッチンやデスクの上で「お気に入りの小物入れ」として生き続ける。箱を開けたときのワクワクした記憶が、日常の中にずっと溶け込んでいく。それこそが、私たちが目指す「食べて終わらないティータイム体験」の理想の姿です。
「見た目は静か。なのに、ものすごく深い。」

私たちが愛するドイツの最高峰紅茶『ロンネフェルト』の思想も、職人たちが仕立てる日本の伝統貼り缶も、その根底にある哲学は全く同じです。
次に私たちの小さなお店で、あるいはどこかの美しいショールームで私たちの缶に出会ったときは、ぜひその表面を優しく撫でてみてください。指先から伝わるほんの少しの温もりと、職人たちのこだわり。それこそが、コンテナートが13年間守り続けてきた、目に見えない本物の価値なのです。
伊勢丹のショッパーのあのチェック柄にはマクミランという名前があり、メンズのあのチェックはブラックウォッチというかっこい名前。さらに三越のあの柄は華ひらくという名前があります。 それらを使わせてもらい貼り缶にしたいという思いを形にするまでは、規定の縮尺率やブランドカラーなど多くの決まりやルール制限がありました。一つ一つ確認しながら進んだ結果使用申請の許可をいただき商品となり販売に至りました。
コンテナート | 取締役・ロンネフェルト認定ティーマスター 石田明子執筆