特集
東京・代々木でフラムクーヘンを食べる
「フラムクーヘンを食べたことがありますか?」
そう聞かれて、すぐに「あれね」と姿を思い浮かべられる人は、日本ではまだそれほど多くないかもしれません。
ピザのように見えるけれど、ピザではない。
薄く伸ばした生地にクリームを塗り、オニオンやベーコンなどをのせ、高温で一気に焼き上げる。
それが、ドイツ南西部からフランス・アルザス地方にかけて親しまれてきた郷土料理、フラムクーヘン(Flammkuchen)です。
そして2026年、東京・代々木の紅茶専門店コンテナートでは、このフラムクーヘンを新しい「紅茶の楽しみ方」として紹介することにしました。
ピザではない、もうひとつの薄焼き料理
初めて見ると、おそらく多くの方が、
「薄いピザ?」
と思うはずです。
確かに、小麦の生地に具材をのせて焼くというところまでは似ています。
しかし、フラムクーヘンのクラシックなスタイルは、トマトソースやたっぷりのチーズを主役にする料理ではありません。
非常に薄い生地とクリーム、オニオン、ベーコン。
構成は驚くほどシンプルです。
フラムクーヘンは、フランス語では「タルト・フランベ」と呼ばれ、アルザスだけでなくドイツ南西部のバーデンやプファルツなどにも広がる料理として知られています。
その起源としてよく語られているのが、パンを焼く薪窯です。
昔は現在のように温度計で簡単に窯の温度を測ることができませんでした。
そこで、パンを焼く前に薄く伸ばした生地を窯へ入れ、その焼け方によって温度を確かめた。
やがてそこにクリームやオニオン、ベーコンなどをのせるようになり、ひとつの料理として定着していったとされています。
いわば、パン窯の「試し焼き」から生まれた料理です。
だからこそ生地は薄く、焼き上がりは軽快。
これがフラムクーヘンの面白さです。
なぜ、紅茶専門店でフラムクーヘンなのか
コンテナートは、東京・代々木にあるロンネフェルトの認定ティーブティックです。
これまで私たちは、紅茶そのものだけでなく、紅茶を使ったスイーツやかき氷など、「紅茶をどう楽しむか」をいろいろな形で提案してきました。
特に夏のかき氷は、そのひとつです。
「ミルクティーのかき氷は食べたことがあっても、紅茶専門店が本気で作ったミルクティーのかき氷は?」
そんな発想から、紅茶を“飲むもの”だけではなく、“食べて体験するもの”へと広げてきました。
しかし、かき氷の季節は一年のうち数か月。
では、それ以外の季節に、ロンネフェルトと一緒にどんな体験を作れるだろう。
その答えを探していく中で辿り着いたのが、フラムクーヘンでした。
ロンネフェルトがつないでくれた、ドイツとの距離
ロンネフェルトはドイツ・フランクフルトで1823年に創業した紅茶ブランド。
そしてフラムクーヘンは、ドイツ南西部や隣接するアルザスで長く親しまれてきた料理です。
もちろん、「ドイツの紅茶だからドイツの料理を合わせました」というだけではありません。
実際に合わせてみると、これがなかなか面白い。
薄く香ばしく焼いた生地。
フロマージュブランの爽やかな酸味とコク。
ベーコンの塩味と旨味。
オニオンの甘み。
そしてローズマリーの香り。
これらを紅茶と一緒に口にすると、スイーツとのペアリングとはまったく違う紅茶の表情が現れます。
「紅茶は甘いものと一緒に飲むもの」
そんなイメージを、少しだけ広げてくれる料理でもあります。
コンテナートでは、フロマージュブランで
フラムクーヘンのクリーム部分には、地域やレシピによってさまざまな乳製品が使われます。
コンテナートでは、フロマージュブランを選びました。
理由は紅茶です。
乳製品としてのコクはありながら、後味には爽やかな酸味がある。
そこへベーコン、オニオン、黒胡椒、ローズマリーを合わせることで、食べ応えはありながら、紅茶の香りを覆いすぎない仕上がりを目指しました。
そして、生地は薄く。
焼き上げたフラムクーヘンは長方形に8カット。
みんなでつまむこともできますし、一人で軽めの食事として楽しむこともできます。
「ちょっと食べてみたい」という方には、ハーフサイズもご用意しています。
フラムクーヘンには、どんな紅茶が合う?
これは紅茶専門店として、かなり本気で試しました。
まずおすすめしたいのが、アッサム バリ。
しっかりとした味わいと適度な渋みが、フロマージュブランやベーコンのコクを受け止めてくれます。
そして意外によかったのが、ニルギリをベースにしたイングリッシュモーニングティー。
料理と合わせるなら、少し渋みを感じるくらいのお茶が面白い。
さらに試していただきたいのが、コンテナートでも人気のアイリッシュモルトです。
普段はミルクティーで楽しまれる方も多いお茶ですが、フラムクーヘンと合わせるなら、ぜひ一度ストレートで。
カカオを思わせる香りとベーコンの香ばしさが重なると、これまでとは少し違ったアイリッシュモルトが見えてきます。
「紅茶を飲みに行く」から、「紅茶と食事を楽しむ」へ
アフタヌーンティーやスコーン、ケーキ。
紅茶には、すでにたくさんの素晴らしい楽しみ方があります。
だから、それを否定する必要はまったくありません。
ただ、紅茶の可能性はそれだけではないと思っています。
昼にフラムクーヘンを食べながら、ポットの紅茶を飲む。
食べ進めながらお茶の温度が少しずつ変わり、香りや渋みの感じ方も変わっていく。
スイーツとは違う、食事だからこそ見えてくる紅茶があります。
私たち自身、フラムクーヘンと紅茶を合わせてみるまで、ここまで相性がいいとは思っていませんでした。
だからこそ、一度体験してもらいたい。
東京・代々木で、フラムクーヘンを。
フラムクーヘンは、日本ではまだ「誰もが知っている料理」ではありません。
でも、バウムクーヘンやハンバーグのように、ドイツ語圏からやってきて日本の日常に溶け込んだ食べ物はいくつもあります。
もしかするとフラムクーヘンも、これからそんな料理になっていくかもしれません。
その入口を、東京・代々木で作れたら面白い。
JR代々木駅西口から徒歩4分、小田急線南新宿駅から徒歩1分。
ロンネフェルトの紅茶を選んで、焼きたてのフラムクーヘンを待つ。
東京にいながら、ほんの少しドイツやアルザスの食文化に触れる昼。
コンテナートが提案したいのは、料理ひとつではなく、そんな時間です。
東京・代々木で、フラムクーヘンを食べる。
そしてぜひ、紅茶と一緒に。
まだあまり知られていない組み合わせだからこそ、最初の一口はちょっと面白いと思います。
