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「3分蒸らす伝統」の解体。進化系コーン『ドルチェドリーム』とアッサム紅茶が織りなす“味覚の建築学”

TEA journal / Vol.1

コンテナート | 取締役・ロンネフェルト認定ティーマスター 石田 明子執筆

2026年7月16日より、あるメディアにて一皿のかき氷「とうもろこし畑のクリーミーサプライズ」が紹介される。手がけたのは、都内唯一のロンネフェルト認定ティーブティック、コンテナートである。
提示したのは、優雅なティータイムの提案ではない。伝統的な紅茶の作法を一度解体し、現代の生活様式に合わせて本質だけを再構築する「現代アジャスト」の実践である。

進化を遂げた素材と向き合う

「ドルチェドリーム」は、糖度約18度以上という際立った甘さとフルーティーな風味を持つ、新種のスイートコーンだ。黄色い粒(コク)と白い粒(甘み)が一本の中に美しく並ぶ「バイカラー種」で、粒の皮が薄く生食も可能なことから「飲むスイーツとうもろこし」とも呼ばれている。
産地は一箇所に固定されていない点も面白い。桜前線のように、旬の時期を追いながら南から北へと産地が移っていく品種で、季節が進むにつれて全国を巡っていく。
この素材と出会えたのは、長年市場で野菜・果物を見続けてきた仕入れの専門家との対話があってこそだ。今年の天候から市場登場の時期を読み、加熱・保管の最適な方法まで、プロの知見を借りている。「紅茶と合わせる」と伝えると毎回驚かれるが、その掛け合わせにこそ発見がある。
店舗では、コンベクションオーブンで一気に蒸し上げることで水分を逃さず、甘みを中心に閉じ込める製法を採用した。

先に甘み、後から渋み。ひと口の中の設計図

ひと口目、とろりと仕立てたドルチェドリームのソースが甘みの先制攻撃を仕掛ける。そこへトップのカマンベールチーズのエスプーマが軽やかなコクと塩味を添え、甘みを一段引き立てる。
続いて内側の氷に忍ばせた「アッサムストレート」の重厚なコクと渋みが、ワンテンポ遅れて訪れる。とうもろこしの甘みと油分を渋みで引き算することで、口の中がすっと澄み渡り、次のひと口を誘う。後半にはバタークリームが顔を出し、軽やかさからデザートらしい満足感へと変化する。全体をアッサムストレートが締めることで、味がぼやけることなく重層的な一皿にまとまっている。

収録の裏側――最高の一皿を待つという選択

実はこの一皿がメディアで放映されるまでには、小さな決断があった。

当初の収録では、ドルチェドリームの仕入れ時期がまだ早く、素材本来の甘みを十分に引き出せる状態ではなかった。長年市場で野菜・果物を見続けてきた仕入れの専門家からも「まだ本当の美味しさは出せない」とストップがかかり、この段階での使用を見送っている。そのため一度は「白桃アールグレイ」で撮影を終えている。
しかし、とうもろこし本来の魅力を伝えきれないまま世に出すことに納得がいかず、番組プロデューサーを通じてメディア側へ相談し、最適な入荷時期まで収録を待っていただけないかを打診した。結果、先方にもご理解いただき、ドルチェドリームが本来の甘みを迎えたタイミングで、改めて撮影を行っていただいている。
一度完成した収録を差し戻してでも、素材が一番良い状態の瞬間を選ぶ。そこにこそ、紅茶とかき氷を扱う専門店としての矜持がある。

お茶を、現代の暮らしに実装する

「丁寧に3分蒸らして味わう」という伝統だけを発信していても、タイパを求める現代の生活には届きにくい。ならば工程はこちら側で引き受け、最高の体験だけをスプーン1本で味わえる形にする。
この一皿は限定メニューの紹介にとどまらない。素晴らしい素材を作る生産者への敬意であり、紅茶の魅力を現代の速度で届けるための実践である。この考え方は店舗の外にも広がり、注文から1分以内で提供するテイクアウト専門店「MILKTEA」を含む、次のかたちでの展開の土台にもなっている。

とうもろこし畑のクリーミーサプライズ|2026年6月30日〜

コンテナート | 取締役・ロンネフェルト認定ティーマスター 石田明子執筆

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